初回の診察について

今回は初回の診察(初診)について書きます。

クリニックちえのわでの診察を希望される方は

  1. 直接クリニックに来られる
  2. 「できればすぐに受診したい」とお電話をいただく
  3. 電話で数週間先の予約を取られる

など様々です。

心療内科・精神科の初診は時間がかかります。クリニックちえのわでは1時間ぐらいの時間をいただいています。

これは長く見えるかもしれませんが、よく考えると当たり前なのです。

比較のために、内科の初診を見てみましょう。

診察の前に血液や尿の検査、レントゲン、心電図などの検査をします。それから医師による問診、身体診察、と続き、必要ならさらに検査を行います。そしてその結果で診断が伝えられて薬が出ます(当日結果が出ない場合は診断が確定しないまま対症療法的に薬が出る場合もあります)。

心療内科・精神科では検査や身体診察をすることもあります。ただし、からだの病気の影響を疑う場合やからだの病気が別にある場合で、行わないことがむしろ多いと思います。その代わり診察室での会話の中ですべてが進みます。

患者さんにとって話しにくいことを聞くこともあります。話すことで結果として楽になることも多いのですが、初対面の相手に話しにくい事柄があるのは当然です。

特にトラウマ体験に関連したことは、無理して話すことは悪化につながることすらあります。無理に話さなくてよいこと、話せることだけ話せばよいことをあらかじめお伝えします。

医師である私は、患者さんが安心して話せるように、この相手なら話しても大丈夫そう、と信頼してもらえるようにゆっくりと会話を進めます。つらいことを話しているときは、話を続けてよいかときおり確認します。

とは言え、限られた時間です。初診では、患者さんの問題の見立てとそれに基づいたおおまかな支援・治療の方針を立てることが目標です。そのために必要最小限なことが分かれば、積み残しの話題は次回以降に回して、見立てと方針の説明に進みます。

説明は患者さんにとって分かりやすい言葉で、理解を確認しながら進めたいと思っています。ただし、すべての患者さんでそれができている自信はありません。言い訳になりますが、このあたりになると持ち時間が少なくなっていて、少し急いでいることもあります。紙に書いて説明してそれを患者さんに渡す、など工夫もしていますがまだまだです。

薬を出すときは、ここで薬の説明もします。期待される効果、効果が出るまでの期間(数週間かかる場合があります)、予想される副作用とそれに対する対策などです。

最後に、その他話したいことや質問はないか確認します。これは意外に重要です。ここで大事な話をされる方もおられるからです。

初診が長時間になる理由が分かっていただけたでしょうか?

1時間の時間をいただくためには、電話で予約を取っていただくに越したことはありません。

直接クリニックに来られた場合は、長時間お待ちいただいたにも関わらず短時間の診察になることがあります。最近になって少しずつ予約枠が埋まって来たせいで、1時間待って15分、ということも起こります。

もちろん、直接来られて当日の診察を希望される方にはそれぞれ理由があるはずです

心療内科・精神科は残念ながらまだまだ敷居が高いです。診察に行くことをためらっているうちに時間が経ち、切迫した状態で受診する方もおられます。思い切って来たのに当日に受診できずに気持ちがくじける、ということもあります。

ですので、診察を希望する方にはできる限り応えたいと思っています。ただし予約優先ですので、お待ちいただいたり、短時間の診察で次回に継続になったり、ということもあります。ときには、当日がどうしても無理で予約だけお取りいただくこともあります。ご理解をお願いいたします。

…ということを書いていると、たまたま当日の診察を希望される方が来られました。1時間近くお待ち頂いたのですが、確かにその人なりの事情があり、診察できてよかったと思いました。「一期一会」という言葉を連想しました。