2年目を迎えます

残暑お見舞い申し上げます。

スタッフ全員が初顔合わせしたのが一年前の夏の日、8月9日でした。クリニックちえのわがスタートして季節が一巡りしたことになります。

ちえのわの現況と課題

ちえのわの現況ですが、離陸した飛行機にたとえると、まだ高度を上げている最中と言えるでしょう。安定飛行するにはまだ高度が足りません。

患者数は着実に増えています。単純に患者数や収益の面では不安要素はありません。遠からず「安定飛行」に入れそうです。

しかし楽観視はできません。増える患者さんに適切な医療を提供していく、という課題があります。
適切な医療かどうかは何より治療成績で測るべきものです。
精神科の治療成績の指標は何か、というのは簡単ではありませんが、医療である以上、さしあたり「生きること」そして「よりよく生きること」に貢献することだとは言えるでしょう。

単位時間あたりの治療成績を上げて行くことがこれからの課題になります。診療の質を下げないで一人あたりの診察時間を短縮する、とも言い換えられます。

この間、初診は30分、再診は10分(ときに20分)を目標にしています。そのための工夫を行っていますし、診療のブラッシュアップを図っています。

しかしこれが達成できれば十分かと言えばそうではありません。すべてが再診患者さんであればともかく、継続して新規の患者さんを受け入れて行くならさらに診察時間の短縮が必要です。

専門職の募集

今後、私の診療スキルを上げたり運営の工夫をしたりでは診察時間の短縮には限界があります。マンパワーの問題です。
今回専門職をスタッフとして迎えることを考えたのはそのためです。

仕事を分け合うことで、診察時間、すなわち医師(山田)が患者さんと直接関わる時間を減らすことが可能になります。

現在医師が行っている仕事は、診断・治療・支援に分けることができます。
診断は面接と各種検査、治療は薬物療法と心理療法、支援は生活支援(診断書作成を含む)と心理的サポート、と大まかに言うことができます。
このうち医師免許が必要なのは処方と診断書作成ぐらいでしょう(診療の最終責任者として診断と治療に医師が責任を持つことは言うまでもありません)。
裏返すと、それ以外の仕事は分け合うことができるのです。この分業と協業によって、山田が患者さんに直接関わる時間を減らしつつ、治療成績を上げることができるようになると考えています。

専門職を迎えると言っても、私が専門職の「専門性」というものを無条件で信頼している訳ではありませんトラウマインフォームドアプローチの観点からは専門職の持つ権威や権力や専門知のマイナス面に注意する必要があります

専門職である以前に人です。サリヴァンの言葉、

人は幸せで成功していたり、満足して超然としていたり、惨めでメンタルを病んでいたり、様々ではある。しかしそういう違いよりもまず人間なのである

汝を刺した槍だけがその傷を閉じることができる

を信じることができることです。
そして、専門職であることの長所と短所を知った人であってほしいと思います。

そのような人を私たちは求めています。
焦らず、一緒に働ける仲間を見つけたいと思います。

クリニックちえのわは2年目を迎えます。今後ともよろしくお願い申し上げます。