シニア外来とは
シニア、すなわち高齢の方のご相談に応じます。ご家族のみのご来院でもかまいません。
シニア外来の枠では主に初回の診察を行います。まずていねいにお話をうかがいます。1時間程度のお時間をいただきます。保険診療です。
- 物忘れ
- 気になる行動
- 介護にあたるご家族の悩みごと
- 在宅療養中の方の精神的問題(不眠、不安、うつなど)
など、高齢の方とそのご家族に現れる心身の問題のご相談に応じます。「何歳以上」と年齢は区切りません。
まずご家族のみご来院いただくこともできます。
お申し込みはシニア外来申込フォームからお願いいたします。お電話(078-918-8818)でのお申し込みも承っております。
診療時間
月2回(原則として第1,2週)木曜日13時30分〜15時30分
4月は4月2日、4月9日です。
シニア外来でできること
クリニックちえのわのシニア外来でできることをご紹介します。
物忘れに対して(認知症の診断)
認知症という病気があるのではありません。高齢になると、様々な原因で脳の働きに障害が起こります。まずその原因を探らなければなりません。
原因によっては、それを取り除けば脳の働きが回復することがあります。それを「治療できる認知症(treatable dementia)」と呼んでいます。中でも見逃してはならないのは処方薬による認知障害です。様々な処方薬が原因になることが知られています。
認知障害のうち脳の進行性の病気によるものを認知症と呼んでいます。なので、その病気を特定することで初めて、(狭い意味の)認知症と診断されることになります。
シニア外来ではまず診断を行い、それをもとに、その後の治療や支援の方針を立てます。
なお当院では現在、血液検査や画像検査を行っておりません。これらが必要な場合は、連携医療機関での検査をお願いすることになります。また、診断が難しい場合は、専門医療機関である認知症疾患医療センターをご紹介いたします。ご了承下さい。
「治療できる認知症」の場合は原因の治療が優先します。当院で治療できないものについては然るべき医療機関をご紹介することになります。
狭い意味の認知症の原因は主に次の4つで、四大認知症と言われます。
- アルツハイマー病
- 血管性認知症
- レビー小体型認知症
- 前頭側頭葉変性症
これらの認知症の場合は現在の問題に取り組むだけでなく、長期的な見通しをお伝えします。
ご本人への説明、ご家族への助言。シニア外来は、認知症という長い旅路をともに歩むための第一歩となります。
その際に重要なのは、医療介護の連携です。必要に応じて介護保険のサービスなどにつなぎ、認知症があっても住み慣れた住まい、地域で、穏やかに過ごせるように主治医として継続して関わって行きます。
気になる行動に対して(BPSDへの対処)
認知症が進行すると、これまでできなくなったことができなくなることに加えて、これまでなかった行動が現れるようになります。
これを認知症の周辺症状またはBPSD(認知症の行動心理徴候)と言います。
周囲の人々はこれに戸惑い悩みます。しかし、まず戸惑い悩んでいるのは認知症の人本人です。
BPSDとは「認知症の人本人が現実の世界に適応しようともがき苦しんでいる徴候であり、自らの尊厳をとりもどそうと葛藤している徴候」(平原佐斗司)なのです。
必要なことは、その行動のみを捉えて、それを阻止したりコントロールしたりすることではありません。その葛藤を理解し、その理由を探り、ご本人だけでなく、周囲や環境に働きかけて、ご本人が「現実の世界に適応」できるのを助けることです。
従って、BPSDへの対応はまず薬ありきではありません。やむを得ず使用するときも少量を短期間使用するにとどめます(注)。
ご家族の悩みに対して(家族ケア)
高齢者の介護に当たるご家族は様々な悩みや困難を抱えています。在宅医療や緩和ケア(特に終末期ケア)に携わる中で、そのことを実感して来ました。
家族ケアは、それ自体としてはもちろん、間接的にはケアされる患者さんにもよい影響をもたらします。
シニア外来では、介護にあたるご家族のご相談に応じます。
- ご本人の病気・障害の特性に合わせた介護についてのアドバイス
- 介護するご家族の心理を理解したメンタルケア
などを行います。
在宅療養中の方に対して(心身両面に配慮した訪問診療)
訪問診療と連動して
- 訪問診療についてのご相談、事前のご家族面接
- 訪問診療中の方のサービス担当者会議(在宅で行うこともあります)
などを行います。
注
BPSDに対して効果が認められているのは主に抗精神病薬ですが、多剤大量や長期間の使用は効果が疑わしいだけでなく、合併症を起こしたりQOL(生活の質)を下げたりすることが分かっています。
なお、抗認知症薬(ドネペジルなど)についてもクリニックちえのわでは使用を控える方針です。効果が認められるのはごく一部であり、一方で有害作用がしばしば見られるためです。抗認知症薬については、認知症医療の荒廃 -抗認知症薬に関する公開情報の分析から-(小田陽彦)をご参照下さい。