私たちの誰もが日々の生活で不安や緊張を感じています。それをなくすことはできませんし、なくす必要もありません。不安や緊張は「生きている証」と言っても言い過ぎではないでしょう。
問題はそれらとどう付き合って行くか、です。
リラクゼーションはそのための手段の1つです。心療内科・精神科でも治療プログラムの一部として取り入れられています。
よく使われるリラクゼーションとして呼吸再調整法と漸進的筋弛緩法があります。
今回は呼吸再調整法をご紹介します。文字だけの紹介で分かりづらいかもしれませんが、その点はお許し下さい。
呼吸再調整法の目的
- ゆっくり呼吸すること
- 血液中の酸素濃度を下げること
- 練習することで不安を下げること
「ゆっくり」が大事です。「深く」でなくてもかまいません。
不安が高まると呼吸が早くなります。一生懸命吸うことで血液中の酸素が増え二酸化炭素が減ります。そのことで息苦しさを感じ、それ以外の体調異変も起こります。これは酸素が足りないのではなくその逆です。それ以上吸えないのです。
なので必要なのは速くなった呼吸をゆっくりすることです。それを指して「呼吸再調整」と言います。ゆっくりすることでからだも気持ちもリラックスできるのです。
練習が大切です。最初はぎこちなく感じますが、練習しているうちに自然にできるようになります。呼吸再調整法を身につけると、不安緊張の高まったとき、高まりそうなときに使うことができます。
呼吸再調整法のやり方
- 口を閉じて鼻からふつうに息を吸う
- 口を閉じたままゆっくり息を吐く、息を吐いているとき静かに「リラックス」と唱える
- 息を止めて4つ数える
これの繰り返しです。息を約4秒間止めることで時間調整することで1分間10回程度のゆっくりした呼吸になります。一つだけコツを言うと、息を吐き切らず少し残して息を止めることです。吐き切って止めると苦しくなって、リラクゼーションとして上手く行かないことがあります。
それではやってみましょう。
いかがでしたか?
まず練習をしましょう。1回10分、1日2回から3回の練習が勧められています。そのうちの1回は寝る前です。寝付きの悪い人は横になってからやってみてもいいかもしれません。途中で眠ってしまったらそれでかまいません。リラックスして眠れた、ということですから。
クリニックちえのわでは不安緊張の強い方に呼吸再調整法をお勧めしていますし、パニック障害、PTSDなどの治療プログラムにも取り入れています。受診するほどではない方にとっても、日常的なストレスへの対処法、または健康法の1つとして、身につけて損のない方法だと思います。
みなさんもお試し下さい。
追記
呼吸というのは奥が深いものです。マインドフルネスでも呼吸が基本になります。これからも折に触れて呼吸についてお話することになると思います。