当科での診察の流れについてご案内します。
ただし、
- よくご相談を受ける問題を例に取りました。その他の様々な問題に対応しています。
- 標準的な治療を心がけていますが、一人一人に合うようにアレンジしています。
ですので、ここで挙げた例は、診療のおおよそのイメージをつかんでいただくためのものとご理解ください。
パニック障害のAさん
突然不安が高まることでこのようなパニック発作が起こることがあります。
この発作自体が頻繁に起こるようになり、「また起こるんじゃないか」とビクビクするようになるとパニック障害(パニック症)と言えます。さらに、外出中や電車内で起こることがきっかけとなって外出や乗車を怖れてできなくなることがあります。こうなると生活への支障も大きくなります。
パニック障害に対しては、
- 発作が繰り返し起こる仕組みについて理解する(発作は本当は怖くない!)
- 発作に対処する方法(呼吸法などリラクゼーション)を知る
- 外出恐怖がある場合など、必要があれば認知行動療法を行う
という治療を行います。
抗うつ薬にはパニック発作の予防効果があるとされています。補助的に使ってみてもよいかもしれません。抗不安薬(いわゆる「安定剤」、ベンゾジアゼピン)についてはお勧めしません。
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認知症のBさん
認知症についてはまず診断が大切です。当院では、ご本人とご家族からの情報をもとに、血液検査や画像診断(外部の医療機関にご紹介します)を参考に診断を行います。その上で、現在の問題、これから起こりえることについてご本人とご家族が知ることができるように十分な説明を行います。
なお、高齢の方は糖尿病や高血圧など認知症に影響する合併症を持つことも少なくありません。当科ではそれらも合わせて診ることでより健康により安心に生活できるようにサポートして行きます。
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うつ病のCさん
うつ病については次の2つの質問(PHQ-2)が目安になります。
A.何かやろうとしてもほとんど興味がもてなかったり楽しくない
0全くない 1数日 2半分以上 3ほぼ毎日
B.気分が重かったり、憂うつだったり、絶望的に感じる
0全くない 1数日 2半分以上 3ほぼ毎日
A、Bの合計が3点以上の場合はうつ病の可能性があります。ただし、うつ病以外でもこのような状態になることはあるため、まず受診されることをお勧めします。
診断は問診票と医師面接でできますが、身体の病気の影響が疑われる場合には(たとえば甲状腺機能低下症などが隠れていることがあります)、血液検査、画像検査を行うことがあります。
軽症のうつ病の場合は、休息を取ることで自然に回復しますが、お仕事をお持ちの方の場合、休職のために必要であれば診断書を発行します。
休息のみでは回復しない場合は、薬物療法や認知行動療法を行います。うつ病の認知行動療法は薬物療法と少なくとも同程度の効果があるとされています。
また、うつ病が長期にわたる場合は、認知行動療法の1種である行動活性化療法が効果的です。
当科では、ご本人と相談しながらこれらの治療を進めていきます。
なお、重症のうつ病で生命の危険がある場合は入院治療が必要になります。その場合は入院設備のある医療機関をご紹介いたします。
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最近退院したDさん
なるべく入院せず、その人らしく生活できるようにサポートして行きます。薬については「飲むとしんどいけど飲まないと調子を崩す」という方が多いと思います。診察で話し合いながら、その人にとって最適な処方を目指します。
年金・手帳など生活に必要な各種制度の利用についてもお手伝いします。医師またはスタッフにお気軽にお声掛け下さい。
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職場でのストレスで通勤ができなくなったEさん
上司との折り合いが悪く、職場に近づくと汗びっしょりになり、上司の顔を見るとドキドキするようになり、最近ついに出社できなくなった。
大きなストレスやショッキングな出来事の影響で調子を崩すことはよくあります。休息と職場環境の調整で回復することもありますが、PTSD(外傷後ストレス障害)や適応障害の診断で治療が必要なケースがあります。
クリニックちえのわは、こころの傷をいやす場を目指し、トラウマインフォームドアプローチを採用しています。また深刻な被害で重症の場合にはEMDRなどトラウマに特化した(trauma-specific)治療を行うことができます。
なお、PTSDの場合は労災申請ができます。そのお手伝いもさせていただきます。
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発達障害のFさん
- 自身の特性(長所と弱点)を知った上で弱点をカバーする方法を探る(認知行動療法)。
- 職場に伝えて環境調整や合理的配慮を求める。
- 就労支援、精神保健福祉手帳、障害年金など、制度を利用する。