心療内科・精神科クリニックを受診する方の多くは「こころ」だけではなく「からだ」の不調を抱えています。服薬中であったり食事や生活が不規則な人は、肥満や糖尿病、最近の言葉で言うとメタボリック症候群になっていることもあります。
そういう「からだ」の問題を誰が診るのがよいでしょうか。
その人が別にかかりつけ医を持っていて、「こころ」と「からだ」のそれぞれの主治医がいる、しかも主治医同士が連携が取れている、というのは実際にはまれなことです。
それどころか、急病で受診したとき、心療内科に通院していると言うと断られる、ということもときどき耳にします。
この問題は海外でもあるようですが、「こころ」と「からだ」の医療が分かれている日本ではもっと深刻です。プライマリケア、家庭医療を標榜するドクターもメンタル面までカバーできる人は少ない印象があります。
実は精神疾患を持つ人は持たない人に比べて余命が短いという統計があります。
その原因として重視されているのがさきほどのメタボリック症候群です。それが多いというだけでなく、その治療がうまく行かないということもあります。「こころ」と「からだ」の両面をトータルに診ることが必要になるからです。
これに対してアメリカではインテグレーテッドケア(integrated care)というコンセプトが提案されています。「統合的なケア」、心身両面にわたる総合的なケア、という意味です。
ICにはいくつかの形態があります。
たとえば誰が主治医となるかによって3つに分けることが提案されています。
- プライマリケア・家庭医療の医師
- 心療内科または精神科の医師
- 専門施設の医師
クリニックちえのわで提供できるのは2です。
まず、クリニックとしてcommon disease(かぜなど、よくある病気のこと)、老年症候群、終末期などの対応を行います。
内科のクリニックや病院とは違い、クリニックちえのわでは、採血・レントゲン・心電図などの検査は行っていません。検査の必要のあるときは連携する医療機関をご紹介いたします。
この点は短所と言えますが、一方で心療内科・精神科としての長所もあります。
生活習慣を変えるのは簡単ではありません。たとえば飲酒をやめることができず、そのために糖尿病のコントロールが難しい人がいます。
このような場合、通常の診療、薬を出したり、「指導」(好きな言葉ではありませんが)するだけではうまく行きません。
そうした人に対して、クリニックちえのわでは、動機づけ面接や認知行動療法を用いて、生活習慣の改善が難しいメタボリック症候群や糖尿病の人、物質乱用のある人のサポートが可能です。
他の診療所や病院と連携して、クリニックちえのわの特性を活かしたインテグレーテッドケアを提供して行きたいと考えています。