クリニックちえのわは初めてのお正月を迎えました。
9月からのたった4ヶ月ではありますが、区切りの意味で、これまでどんな方がクリニックちえのわを受診されたかについて振り返ります。
患者数ほぼゼロからのスタートでした。
比較的アクセスのよい明石駅前、周辺にはクリニックがいくつもあるけど、応えられていないニーズはあるはず。
そう考えて、私たちが考えていることやできることを発信し(クリニックちえのわができること)、診察に来られた患者さんには一人ひとり丁寧に対応することを心がけました。
診察に訪れた方は、まったく初めての方も他院で受診経験のある方もおられましたが、それぞれがやむにやまれぬ理由がありました。心療内科はちょっとかぜを引いたから近くのクリニックに、という訳には行きません。受診に迷い、ギリギリで受診する、という方もおられました。
相談内容で多かったのは予想通り
- 職場のハラスメント
- DV
- スクールハラスメント
など、対人暴力によるメンタルヘルスの問題でした。
そしてやはり、長期にわたるメンタル不調のケースの多くには、背景にACEs(子ども時代の有害な体験)がありました。トラウマインフォームドアプローチの重要性を再確認する4ヶ月でした。
対人暴力と無関係ではないものの、それとは区別できる問題として
- 発達障害
- いわゆる「ひきこもり」
- 職場のオーバーワーク
これらは想定していた以上でした。
どの問題についても、薬を出して終わり、という訳には行きませんし、そもそもクリニック単独ではまともな支援ができません。
特に発達障害についてこのことが言えます。その存在が広く知られるようになったせいでしょう。子ども大人問わず、相談が多く寄せられています。クリニックちえのわでは発達障害の診断・評価はできますが、大事なのはその後の支援です。
学校や職場との連携、必要であれば、発達障害相談支援センター、セルフヘルプグループ、就労移行支援などにつなげて行くこと、これは私たちにとって2018年の課題になりそうです。
そしてやはり多いのが、
- 減薬の希望
薬に頼らない医療を公言している以上、減薬を望む方が受診されるのは当然ではあるものの、薬を減らしたい、というニーズがあることは確かです。
減薬を希望される方は単に薬が嫌いな人、という訳ではありません。患者さんが語る精神医療に対する不満・不信感にはうなずけることが多いです。そして減薬を希望されるケースのほぼすべてが合理的な薬物療法とは言い難いものでした。それを踏まえて、薬以外の治療や支援を提供しながら、それぞれのペースに合わせて(離脱症状に注意しながら)減薬していく、ということを行っています。
…こんな風に書くと、とても繁盛しているようですが、実際はそうでもありません。いつになったら赤字経営から抜け出せるのか(損益分岐点を超えるのか)というのが気がかりです。
予想を下回ったこともあります。それは高齢の方の受診です。
単にこころの問題だけでなく、からだの問題、くらしの問題、生き方の問題(bio-psycho-socio-spiritual)が複雑に絡み合うのが高齢の方の特徴です。私の得意分野ですし一般病院や在宅医療の経験を活かせる分野でもあります。今後力を入れて行きたいと考えています。
このブログを読んでいただける方も増えてきて、「ホームページで知った」という方から受診のお問い合わせを頂くようになりました。遠方で受診は難しい方も記事を参考にして頂いているようです。そういう方々のために、引き続き発信して行きたいと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。