今さらではありますが、発達障害が話題になることが多くなっています。
それを反映してか、発達障害に関連した相談が心療内科・精神科で増えています。
ちえのわも例外ではありません。
メンタル不調の背景にある学校や仕事での摩擦、対人関係のストレス、そこに発達障害が関連していることがあります。
最近では、ご本人から「私は発達障害ではないか?」と問われることもありますし、カウンセラーや医師に「発達障害かもしれない」と言われた、という方も来られます。
クリニックちえのわと発達障害
クリニックちえのわは発達障害の専門機関ではありません。
ただし、専門機関と呼べるところは圧倒的に不足しているのが現状です。こども家庭センターや発達支援センターがそのような機関だとしても、発達障害の問題について総合的に、オールインワンで対応できる機関ではありません。関係者のみなさま、すみません…
ですので、ちえのわのような小さなクリニックでも、発達障害への対応は必要です。
それだけではありません。
私たちはトラウマインフォームドアプローチ(TIA)を目指しています。TIAはまた、発達を考慮したアプローチ(development-informed approach?)でもあります。
繰り返し述べましたが、メンタルヘルスの問題の多くにACE(子ども時代の有害な体験)が関わっています。
ACEと発達障害の問題はつながりがあります。
杉山登志郎さんの『子ども虐待という第四の発達障害』に詳しいですが、
- 発達障害の子どもはACEを持ちやすい
- ACEのある人は発達障害の人と共通の問題を抱えやすい(杉山の「第4の発達障害」、van der Kolkの「発達性トラウマ障害」など)
そのような理解のもとで、クリニックちえのわはむしろ積極的に、発達障害に取り組んでいます。
クリニックちえのわができること
と言っても、小さな医療機関です。できることは限られています。
私たちができるのは今のところ
- 発達障害の診断
- 手帳・年金診断書の作成
- ご本人やご家族への説明と心理的サポート
- 合併症、二次障害の治療
- 関係機関(発達支援センター、就労移行支援事業所など)への紹介
ぐらいにとどまります。
- 関係機関との連携
- 学校や職場への働きかけ
については始まったばかりというところ。
そして発達障害に特化した治療については今後の課題です。
- 認知行動療法、SST
- 薬物療法
前者については、時間とマンパワーの問題が解決すれば、関係機関と協力してチャレンジしたいと思っています。
後者については慎重に考えたいと思います。たとえばストラテラがADHDの人のつらさを和らげることはあると考えています。ただ、認知行動療法、SSTがまずできて、補助的に薬物療法、というのが望ましい治療のあり方ですし、発達障害への薬物療法、特に若い人へのそれには賛否両論があります。引き続き検討して行きます。
このエントリーでは「発達障害」という単語を何の説明もなく使って来ました。
発達障害=自閉症またはADHDまたは学習障害
と何となくイメージされると思いますが、これには説明が必要です。
次回は、私たちが発達障害をどのように理解し、患者さんにどのように説明しているかをお話したいと思います。
「次回に続く」が多くてすみません…。