9月29日京都国際会館で開かれた、認知症サポート医養成研修に参加して来ました。
「認知症サポート医」は馴染みのない言葉かもしれません。
- ア かかりつけ医等の認知症診断等に関する相談・アドバイザー役となるほか、他の認知症サポート医との連携体制の構築
- イ 各地域医師会と地域包括支援センターとの連携づくりへの協力
- (ア) 認知症初期集中支援チームへの参加〔兵庫県独自〕
- (イ) 市町・地域包括支援センター等と連携した、認知症ケア向上に資する取組み:講師、相談医・嘱託医等〔兵庫県独自〕
- ウ かかりつけ医等を対象とした認知症対応力の向上を図るための研修の企画立案及び講師
このように認知症の方をサポートする地域連携の中心的役割を担うのが認知症サポート医です。
研修の感想
服部英幸先生の「診断・治療の知識」の講義はとても分かりやすく、これから認知症について話すときにはお手本にしたいと思いました。
認知症についてはそれなりの知識と臨床経験があるので、ほとんどがよく知った内容でした。とはいえ、レビー小体型認知症の診断基準(McKeithら)が2017年に改訂されていた(PDF 英語です)ことなど、初めて知ったこともいくつかありました。知識を常にアップデートする必要性を再確認しました。
一方、武田章敬先生「制度・連携の知識」の講義では自分の知識不足を痛感しました。
近年、認知症の方をサポートする制度と仕組みが急速に整備されて来ています。その流れについて行けていないことが分かりました。
実際、「認知症支援推進員」などは名前を聞いたことがあってもその仕事内容はよく知りませんでしたし、「生活支援コーディネーター」にいたっては恥ずかしながら言葉すら知りませんでした。
今回は台風の影響もあり、二日間の研修を一日に圧縮する形になりました。そのため講義が駆け足になったせいもあるでしょう。複雑な制度と仕組みをこの時間で紹介するのは人間業では無理です。(武田先生お疲れ様でした)
制度や仕組みについてさらに勉強し、地域での運用実態を知ることを宿題として出された、と考えています。
認知症サポート医として
私はこれまで一般病院や在宅医療で認知症の診療に携わって来ました。なので、日常生活に大きな影響が出る中期以降の認知症の方への関わりがほとんどでした。
確かに医療の果たす役割が大きくなるのは中期から後期なのですが、できるだけ早期から医療や介護が関わることで、認知症の方がその人らしく地域で生活できることが分かっています。
認知症サポート医も早期からの認知症支援を担うことを期待されており、兵庫県では初期集中支援チームへの参加も求められています。
私自身、ご本人や周囲が認知症に気づく早期から関わり、最期まで地域で、できれば自宅で過ごせるように、認知症の人とそのご家族に関わって行きたいと考えています。
実際、クリニックちえのわのある明石市でも、認知症診断に対する助成制度が先週から(!)始まっています。
認知症検査で最大7千円助成 全国初、明石市(神戸新聞 9月13日)
診断は重要です。しかしそれはあくまで支援や治療につながってこそです。認知症サポート医の役割はさらに重要になると言えるでしょう。
すでに認知症サポート医としてご活躍の諸先輩にはかなわないかもしれませんが、私のできることはあるはずです。これからさらに勉強しながら、この地域の関係者と連絡を取り、認知症サポート医としての活動に備えたいと考えています。
クリニックちえのわでの認知症の診療についてはまた改めてお話したいと思います。