9月6日、性的マイノリティ医療福祉連絡会主催の「LGBT当事者の医療・福祉での困りごと」(注1)に参加しました。
土曜午前の診察を終えて、明石から吹田に移動しました。
10分遅れて入った会場は、テーブルごとのグループに分かれてほぼ満員、すでに前半のレクチャーが始まっていました。
まず、桂木祥子さん(注2)による医療現場で必要なLGBTの基礎知識のお話。
もう少し突っ込んだ話を聞きたい、という気持ちもありましたが、幅広い現場から、LGBTの人たちとの関わりも様々な参加者であることを考えると、ほどよい内容と分量のお話だったと思います。
短い休憩をはさんで、後半はグループに分かれてのディスカッション。
まず自己紹介。私のグループは、地元吹田市の精神科クリニックや教育委員会、社協からの方がおられました。
ディスカッションのテーマは2つ。
まず、それぞれの現場での工夫。
クリニックちえのわでは、
など、LGBTについて、少しでも敷居を低くするための工夫をしています。
実はちえのわのマークも多様性を表すアルカンシェル(虹)の色を使っています(→ ちえのわの由来)。
また
- 問診票の性別欄は選択ではなく自由記載
- ヘテロセクシュアル前提の話をしない
など、性のバリアフリーを心がけています。
会場でもある有希メンタルクリニックさんでは、トイレを女性トイレと男女トイレの2つにしているとのことです。トランスジェンダーの方は男女トイレを利用できる訳です。
もう1つのテーマはそれぞれの現場で抱く疑問。
学校現場の問題として制服が挙げられました。
性差を強調する制服、いまだに男子は学ラン女子はセーラー服を採用する学校もあり、トランスジェンダーの生徒への配慮は乏しいようです(ジェンダーフリー・バッシングの後遺症もあるのでしょうか?)。
私が抱いた疑問は、クリニックちえのわでLGBTとしての悩みを話す患者さんの少なさです。
LGBTは100人中4から8人と言われており、しかもマイノリティとして大きなストレスにさらされていることは周知です。たとえば、一橋大学アウティング事件は記憶に新しいところです。
心療内科・精神科を受診する患者さんの中にもLGBTは相当数おられるはずです。10人に1人以上でも不思議ではありません。しかし、自らがLGBTであるとカミングアウトする人、LGBTとしての悩みを話す人はそれに比べてずっと少ないのです。
これは何故なのか。
私たちの努力不足はあると思います。ただ、それだけではないのかもしれません。あるいは(あくまで推測ですが)過去に医療機関で傷付いた経験が当事者にあって、それがカミングアウトを妨げるのかもしれません。
医療機関、特に精神科はLGBTの人々のニーズに応えることができているのか。
改めて課題として取り組んで行きたいと思いました。
そして次は…
とても有意義な会でした。特に地元吹田市の関係者が多く参加しておられたことが印象的でした。明石市でもこのような集まりができないか、とも思いました。
そして来年1月、大阪で、セクシュアルマイノリティと医療・福祉・教育を考える全国大会が開催されます。
今回のように幅広い参加者が期待できそうで、これまでの大会にも増して盛り上がりそうです。詳しくはリンク先をご覧下さい。
注1 LGBTについてはLGBTQ、LGBTIQ、セクシュアルマイノリティ、クィア、など様々な言い方があります。それぞれのニュアンスや指示する対象にいくらか違いはあります。このエントリーでは、会の名称に従ってLGBTとしています。
注2 桂木祥子さん(サポいちえ・QWRC)がシノドスに執筆された記事「LGBTと障害者就労――生きやすい場を求め、変えていく」もご参照下さい。